金のネックレスや指輪が本物かどうかは、刻印、磁石、重さ(比重)などで手がかりをつかめます。ただし、どの方法も自宅でできるのは「ふるい分け」までで、本物と断定することはできません。造幣局も「貴金属の品位は目で見てわかるものではありません」としています。ここでは方法ごとに、わかること・わからないことを整理します。
方法ごとにわかること・わからないこと
| 方法 | わかること | わからないこと |
|---|---|---|
| 刻印を見る | 表示された品位、めっき・金張りの表示 | 刻印どおりの品位かどうか |
| 磁石を近づける | 強く付けば鉄などを含む可能性 | 付かなくても金とは限らない |
| 比重(重さ)を測る | 金より明らかに軽い素材の除外 | 金と密度が近い金属を使った偽物 |
| 試金石(専門家) | 品位のおおよその見当 | 熟練が必要で、表面がわずかに削れる |
| 蛍光X線(専門家) | 表面の成分 | めっき品の中身 |
| 灰吹法などの分析(専門機関) | 品位の測定 | 試料を溶かすため、品物の一部が必要 |
刻印を確認する:K18GP・金張り・偽刻印
まず刻印を最後まで読みます。「K18」のあとに次の文字が続いていれば、地金は18金ではありません。
- GP:金めっき。表面の皮膜だけが金です。
- GF:金張り。金合金の板を張り合わせた素材で、金合金の質量比が20分の1以上のもの。
- RG:金張りのうち、金合金の質量比が20分の1未満のもの。
K18の刻印が偽物ではないかと心配な場合も、考え方は同じです。刻印は製造・販売側の表示で、K18やPt900などの記号は造幣局の証明記号ではありません。日の丸とひし形の数字が並ぶ造幣局のホールマークは、第三者が分析による品位試験を行った証明です。
反対に、刻印がないから偽物とも限りません。ホールマークは任意の制度で、日本ジュエリー協会の表示規定も、アンティークや歴史的なジュエリーには品位が刻印されていないものがあるとしています。刻印の種類はジュエリーの刻印の意味、18金の表示はK18(18金)とはで詳しく解説しています。
磁石でわかること・わからないこと
金そのものは反磁性で、磁石に吸い付きません。家庭用の磁石に強く吸い付く場合は、鉄など強磁性の金属を含んでいる可能性があります。ただし、引き輪のバネや留め具のマグネットなど機能上の部品には貴金属以外が使われることがあるので、本体と分けて確かめましょう。
一方、磁石に付かないことは金である証明になりません。銅や銀も反磁性で、タングステンも磁石への反応はごく弱い金属です。こうした金属に金めっきをした品も、磁石には付きません。
比重(重さ)で確かめる方法と限界
金はとても重い金属で、純金の密度は1cm³あたり19.3gです。比重は、空気中と水中での重さの差から求める方法(静水秤量)で調べられます。ただし、比重にも限界があります。
- 割り金(銅、銀、亜鉛など)は金より密度が低いため、K18などの合金は純金より軽くなります。
- タングステンの密度も1cm³あたり19.3gで、金とほぼ同じです。
- GIAの研究では、静水秤量は品位の判定に向かず、石の付いた品は測れないこと、金と密度が近い金属を中に詰めた金めっき品は見抜けないことが指摘されています。
- 中が空洞の製品もあり、表示規定では「K18[中空]」のように表示するとされています。
金メッキの見分け方
金めっきは表面の皮膜なので、次の点が手がかりになります。
- 刻印:GP、GF、RGなどの文字。表示規定では、めっきの記号として金めっきはGP、ロジウムめっきはRHP、プラチナめっきはPTPを使うとしています。
- こすれやすい部分:留め具の周りや角など、よく当たる部分で下地の色がのぞいていないか。
- 色だけで決めない:めっきの色は地金の色と見分けにくいため、色味だけでは判断できません。
蛍光X線で調べる場合も注意が必要です。GIAの研究によると、蛍光X線で分析できるのは表面から数マイクロメートルの範囲だけで、めっき品や内部が均一でない品では全体を表しません。蛍光X線による品位確認の国際規格ISO 23345も、被覆のある品には適していないとしています。
専門家が行う検査:試金石・蛍光X線・分析
- 試金石:黒い石に品物をこすり付けて筋を付け、品位がわかっている試金針の筋と並べて酸をかけ、反応の違いを比べます。GIAの研究では、熟練した検査者なら比較的正確で、めっきも見抜けることがあるとされます。品物の表面がわずかに削れ、酸は取り扱いに注意が必要な危険物です。
- 蛍光X線(XRF):品物を壊さずに表面の成分を測る方法です。平らで均一な品なら比較的正確ですが、曲面や特殊な仕上げ、めっき品では結果が不確かになります。
- 灰吹法(ファイアアッセイ):試料を溶かして金の量を求める方法で、ISO 11426はISO 9202の品位を確かめる推奨方法としています。試料が必要なため、品物の一部を使います。
造幣局のホールマークは、分析による品位試験に合格した製品に打刻されます。
やってはいけないこと
- 自宅で酸を使う:試金石用の酸は取り扱いに注意が必要な危険物です。
- 削る・噛む・火であぶる:品物を傷めるうえ、それで品位がわかるわけではありません。
- 一つの方法で断定する:磁石に付かない、重い、刻印がある、のどれも単独では証拠になりません。
売る前・相談する前に写真で記録する
売却や保険、相続などの判断の前には、専門家に検査や評価を依頼しましょう。その前に、刻印、全体、留め具を接写しておくと相談がスムーズです。写真でジュエリーを判定・刻印を読むでは撮り方と写真の限界を、英語の本物の金の見分け方(英語)ではさらに詳しい解説を紹介しています。